自然豊かな地に佇む寺院・嶺松院
鳥取県琴浦町に位置する嶺松院(れいしょういん)は、山と海に囲まれた恵まれた自然環境の中に佇んでいます。南には広大な日本海が広がり、西には雄大な霊峰・大山を望むことができ、四季折々の美しい景色を楽しむことができます。
春には新緑、夏には青々とした山々と海、秋には紅葉、冬には雪景色と、四季ごとに異なる美しい風景が広がります。寺院の境内を歩きながら、自然の息吹を感じ、心を落ち着けるひとときを過ごすことができます。
嶺松院の歴史
・宗派
曹洞宗
(曹洞宗は、釈迦さまの自覚された正法を仏祖から仏祖へと嫡嫡相承された仏法です。)
・本尊
聖観世音菩薩
-これまでの歩み-
嶺松院の創建は、光徳寺七世である釣雪祖厳大和尚によるものです。
釣雪祖厳大和尚は、元亀三年(1572年)にその生涯を閉じました。その後、嶺松院は代々住職が引き継がれ、発展を続けていきました。
しかし、光格天皇の時代である文化七年(1810年)四月十三日、大火災が発生しました。この火災により、寺の本堂をはじめとする諸堂や貴重な記録が焼失してしまいました。このため、嶺松院の創建当初の詳細な記録は失われており、現在の歴史の多くは伝承や後世の復興によって伝えられています。
お祀りしている仏さま
ご本尊
聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)をご本尊としてお祀りしています。
聖観世音菩薩の名を唱えると願いが成就するといわれます。
火難・水難などの7つの難から逃れることができ、その名を念じることにより、悩み・悲しみ・苦しみ・迷いなどから救われるといわれます。
もともとは、正法明如来(しょうほうみょうにょらい)という仏さまでありましたが、衆生の救済のため人間界に近い菩薩の身となったとされます。
山陰ぽっくりさん
本堂正面のご本尊さまの右脇には、阿弥陀如来がまつられています。
日本全国各地で「ぽっくり信仰」がされていますが、お詣りすることで無病息災で病気やボケがなく天命を全うできるといわれます。
なでぼとけ・子授け
本堂入口を左に進んでいただきますと、開山堂(位牌堂)の入口に、賓頭盧尊者さま(おびんずるさま)が鎮座しています。
この仏像は、釈迦如来の16人の弟子の一人である「賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)」をモデルとしたものです。日本では「なで仏」として親しまれ、古くから多くの人々に信仰されています。
嶺松院の本堂にあるおびんずる様の仏像には、特別なご利益があるとされています。参拝者はこの仏像の体をなで、その手で自分の体の痛い部分や気になる箇所をさすると、病気が治ったり痛みが和らぐと伝えられています。また、おびんずる様は子授け仏としても有名で、子宝に恵まれるご利益を求めて訪れる人々が後を絶ちません。
救済の仏
炎を背に、牙や目をむき出しにして激怒している姿は「恐ろしい仏様」「戦いの神様」のイメージを持ちますが、実は恐ろしい姿とは異なり、人々を救うことに力を注ぐ心優しい仏様です。
「人々を救うために、不安や悪を断ち切る」とされます。人々の前に立ちはだかる不安・悪・悩み・障害・災害から救ってくれます。その恐ろしい表情や姿は、人々を救うため、悪を断つためといわれます。
《 嶺松院のお不動様の話 》
以前は位牌堂に祀られていましたが、とある二人の女性のお話を聞き本堂に2021年春にお祀りすることにしました。
お二人は、何年も不動明王様を探していたそうです。大変信仰する方のようでした。『お不動さんに「お酒を持って会いに来い」と言われたのですが、どこに行ってもそのお不動さんがおられなくて。もう何年も探し回っています。もうこちらのお寺が最後なんですが、お不動さんはおられますか?』と尋ねてこられました。
位牌堂へ案内したところ『間違いない。このお不動さんです』とおっしゃり、『やっと来られました。長い間待たせました』と泣きながら、お不動さんに向かってお話をしておられました。その方々曰く、「神通力があり、お酒がお好き」ということで、嶺松院の不動明王様にはお酒が供えられております。この出来事をきっかけに、位牌堂から本堂に祀らせていただくこととしました。
不動明王様には、色々な悩みを抱えた方がお参りされますが、後日「お礼参り」される姿は、大変ありがたく嬉しいものです。
「祈るところ必ず霊験あり」と不動明王様のご真言をお唱え下さい。一心に努力し、成功を祈願されるならば、ご利益を授けてくださいます。
安産と子安の神
鬼子母神様は、安産と子安の神様です。
伝説では、鬼子母神は、500人もの子供がいました。子を育てるため、人間の子供をさらって食べていました。人間達からは、憎まれ恐れられました。そこでお釈迦様は、鬼子母神を悟らせるため、鬼子母神の一番末の子供を隠してしまいました。必死になって探し、途方に暮れる鬼子母神はお釈迦様に助けを求めました。するとお釈迦様は「500人の子供の内、たった一人が居なくなっただけで、お前はこのように嘆き悲しみ私に助けを求めている。たった数人しかいない子供をお前にさらわれた人間の親の悲しみは、どれほどであっただろう。その気持ちがお前にも今はわかるであろう?」と話されました。
鬼子母神は、改心し『全ての子供達とお釈迦様の教えやその教えを信じる全ての人たちを守る』と誓い、以降、鬼子母神は『子供の守り神』になりました。
女性を守る仏
普賢菩薩(ふげんぼさつ)様といいます。
普賢菩薩様は女性から多くの信仰を集めています。
なぜなら、仏になる前は女性だったからです。
普賢菩薩様の眷属(けんぞく)部下は、十羅刹女(じゅうらせつにょ)と言われます。時として十羅刹女たちの母である鬼子母神も部下とされます。10人の部下はすべて女性です。その為、女性の信仰を集めました。
幸せになれるご利益と長生きできる延命のご利益の二つが有名です。
その他にも沢山のご利益があります。
偶然ではありますが、普賢菩薩様と鬼子母神様がお揃いでお祀りされていることに、強いご縁を感じられずにはいられません。
位牌堂へ向かう通路の左側にお祀りしています。
智慧と女性守護
文殊菩薩様は、普賢菩薩様と脇侍として祀られること多いです。
文殊菩薩様は、智慧を司る仏様と言われ、合格祈願や学力向上にご利益があります。
また、安産や家屋を守るご利益もあるとされています。
他にも、文殊菩薩はうさぎ年生まれの人の守り本尊とされています。
嶺松院では、位牌堂にお祀りしています。
商売繫盛
位牌堂にお祀りしています。
七福神の一人「恵比寿」です。恵比寿様は日本に由来する神様で、イザナギ、イザナミの神の間にできた第三子になります。七福神の中では唯一日本の神様です。「大漁追福」や「商売繁盛」や「五穀豊穣」をもたらす、漁業や商業や農業の神様です。智恵を働かせ体に汗を流して働けばこの神が福財を授けるという信仰の神様です。
子育て地蔵尊・水子地蔵尊
門脇には、子育て地蔵尊と水子地蔵尊がまつられています。
すべての子どもたちの幸せと健やかな成長を見守る存在として、多くの人々に親しまれています。
仏足石
境内中央には仏足石があります。
仏足石(ぶっそくせき)とは、お釈迦さまの足跡を石に刻み信仰の対象としているものです。仏像が制作される以前からブッダそのものを表現したものとして、礼拝の対象とされました。